SES企業が自社サービスを開発しなければいけない理由

Respawnではただいま、自社サービスを鋭意開発中です。

そして、自社サービスを開発するに至った理由として常々考えていたことを、ここでひっそりと書き残しておきたいと思います。

申し遅れました、私、Respawn技術開発部ディレクターGと申します!

自社開発と受託開発とSESの違いをおさらい

まずはその前に「自社開発企業」「受託開発企業」「SES企業」3種類の違いをおさらい。

これを読んでいる人は、恐らく上記の3つの業界に既に在籍している人がほとんどでしょうから、詳しく説明する必要もないと思うので簡潔に書きます。

自社開発企業

自社製品のアプリやサービスを運営して収益を得ている企業のこと。
Google、Apple、Facebook、Amazonといった米国巨大IT企業、通称GAFAも自社開発企業。
Baidu、Alibaba、Tencentといった中国巨大IT企業、通称BATも自社開発企業です。

受託開発企業

お客さんから依頼されて製品を開発して、その作業対価として収益を得ている企業のこと。SIerと言われる企業もこれですね。

SES企業

SES(System Engineering Service) の略で、技術者の労働を提供する企業。派遣ぽいようで厳密には派遣じゃないのですが、その違いはここでは割愛。ググりましょ。


ということで、受託開発企業とSES企業は基本的に労働の対価としてしか収益は得られず、自社開発企業だけが労働の対価以上の収益を、自力で得られるということになります。

自社開発と受託開発のメリットとデメリット

そもそも、SES企業は客先に常駐して労働力を提供するサービスのため、社員が自社内に常駐することは基本ありません。

なのでSES企業はここでは除外して、自社開発企業と受託開発企業のメリットとデメリットを挙げてみましょう。

自社開発企業のメリット・デメリット

メリット

・労働の対価だけでなく、サービスの収益でインセンティブも発生するため高収入も望める。

デメリット

・大手になると役割分担が明確なため、担当によっては経験できる仕事の範囲が限られる。
・同じ環境での開発が続くため、新しい技術に対する情報に疎くなりがち。
・収益があがらずサービスを終了した場合に失職の可能性がある。

受託開発企業のメリット・デメリット

メリット

・様々なプロジェクトに携われることで、エンジニアとしての成長、実績、経験が詰める。

デメリット

・案件がクライアントありきのため、そもそもの案件がないと収益が無い。
・プロジェクトによって求められるスキルや言語が違い、学習コストが発生する。
・納期と費用がタイトなため、長時間労働などの激務になりがち。

SES企業が自社サービスを開発しなければいけない理由

ここでやっとタイトルの本題を書いていきます。


まず、SES企業は、自社開発企業になっていかなければ未来がありません。

というのも、2018年の秋にとある一部上場企業が、人事、総務、経理などの間接部門からIT部門へ約5000人の配置転換を行う方針を打ち出し、2019年2月の時点で約5000人のうち、2850人が退職、2000人強が配置転換されたという結果を発表しました。

このニュースは割と記憶に新しい人もいるかと思いますし、初耳な人もいるかと思いますが、実際に既に起きた出来事です。

これは要するに、間接部門の人員を削減しつつ、自社内のエンジニアを社内の配置転換で増強したという事でして、裏を返すと今までSES企業や受託開発企業に頼っていた部分を、自社の人材で解決できる体制にして内製化するための施策をやりきったということです。

なぜなら、その方が長い目で見た場合のコストカットになるからですね。

日本でもかなり大手な一部上場企業がその方向に舵をきったということで、今後は業界全体がそちらに方針が傾き、SES企業と受託開発企業の仕事がどんどん無くなっていくという事を意味してます。

これは、10年後とか20年後とかっていうそんな悠長な話じゃなく、もうあと数年後の話なんです。

そして、もし業界全体がそうなった時に生き残れる可能性が高い企業は、消去法になってしまいますが自社開発企業だけです。


つまり、 SES企業がこれから近い将来で訪れるであろう、IT業界のパラダイムシフトに耐えて乗り切る地盤を、いま現在持てる人材を駆使して自社サービスを開発して築いていく必要があるんです。

もちろん、自社開発企業の「収益があがらずサービスを終了した場合に失職の可能性がある」というデメリットはあります。

ただ、収益があがる自社のサービスを当たるまでいくつもローンチし続けることで、そのデメリットを覆せる可能性も多分にあります。

1つ目のサービスがヒットしなければ次を開発してローンチ。
2つ目のサービスもヒットしなければ次を開発してローンチ。
3つ目のサービスもヒットしなかったら4つ目、5つ目と、とにかく当たるまで作ってローンチを繰り返していき、もしその中に1つでも当たるサービスが現れたら勝ちです。



ここで突然ですが、バンドで例えてみましょう。

いくらバンドの演奏技術が高くても、演奏する曲自体が良くなければそのバンドは売れません。
逆に、そのバンドが演奏する曲さえ良ければ、多少はバンド自体の演奏が下手でも売れます。

バンドは次から次へとヒットするまで新曲を出し続けますよね。
そして1曲でもスマッシュヒットしたら勝ちです。

ちなみに、演奏技術はライブやリハを重ね、同じ曲を何度も何度も反復して演奏してればいつのまにか上手になっていますし、もともと良かった曲がより良くなります。


ここでの例えを置き換えると
演奏する曲=サービス
バンドの演奏技術=エンジニアのスキル
です。


まぁ、厳密に細かく音楽業界で売れるには演者のルックスだったり、売り方の戦略だったり、いろんな要素が絡んでくるんですけど、シンプルに言えばこれです。

サービスも音楽も、人が作るモノという点では同じですし、そう考えると自社開発企業はアーティストとも言えると思います。


ちょっと脱線してしまいましたが、言いたいことはだいたい書きました。

ということで結論!

SES企業が自社サービスを開発しなければいけない理由は
『近い将来、SES企業を必要とされない世界になるまでに、自社サービスで収益を確保して生き残る地盤を作るため』です。


「言うのは簡単だけど~」なんて言う人もいますが、それこそそう言って逃げるのは超簡単です。

簡単なことではないのは重々承知。
というか、逆に簡単だったら世界は自社開発企業だらけの世界になってますからね。

それでも!それでも!と、歯を食いしばってやらなければいけない事が自社サービスの開発なんです。

生き残るために!


以上、最後までお読みいただきありがとうございました。